2016年7月17日日曜日

~平凡で平和な世界~ⅩⅨ

「お前さっき豊島さんと話してたじゃんか?何の話してたの?」
いきなり質問か。いやそれ以前に、
「お前誰だよ。」
「あ、俺か?おれは時本慧だ。同じクラスだっただろ?」
「ああ、ってか、おれはぜんぜん名前知らないのに、 俺の名前知ってるやつ多いな。」
「そりゃそうだろ。だってお前の入学式のスピーチ忘れられるような内容じゃなかっただろ」
なるほど。それこそ覚えてて当たり前だと言うことか。ってかあれはスピーチじゃない。
「で、何の話してたの?」
「いや、お前に話すような内容じゃない。」
「そうか。なんかめっちゃ仲良さそうに話してたからさ。」
ああ、はたから見たらそんな感じに見えるんだな。
「お前あれだな。野次馬系だな。」
「悪いか。」
「べつに。」
「まあいいや。一応言っとくけど、豊島さんと仲良くなっても、あんまいいことないよ?」
何を言っているんだこいつは。
「いや、俺損得で動く人間じゃないし、というかいきなりそんな話を持ってくる意味が分からないんだけど。」
そのまま、後ろも振り返らずに帰った。
その日の車。
父「なんかだいぶ遅かったな。」
俺「ちょっと準備に時間かかった。」
父「そうか。」

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