ここまで聞いて僕はここまで言われた西原さんの顔を伺ってみた。うつむいたまま顔を上げない。反論しないと言うことは、本当なのか?
牧君は続けた。
「そして、六年の夏だったかな。ある事件が起きた。ほかの校区の人にはあまり情報は回ってないかもしれないけど、西原さんはこの学校に乗り込んだんだ。理由は僕も聞いてないし、今も聞く必要はないと思っているけど、その事件でこの学校の負傷者が十数名出た。その時は学校から討伐隊がすぐさま派遣されて、被害は最小限で済んだけど、なかなかの衝撃が学校にはしった。さっきの生徒たちも、それを知っていたんじゃないかな。」
西原さんはまだ、うつむいている。
「その後、何かのきっかけから、西原さんは更生をして今のような温厚で優しい性格になったんだ。あんな事件を起こしたから、この学校に来ることは普通にはあり得ないことなんだけど・・・」
その時、西原さんがはじめて口を開いた
「ここの理事長が私に言ったの。うちに来て、今回の件の分しっかり償わないか、今までのこともあるし、そのまま地方の中学校に進むのはつらいだろうって。私は牧君が言った通り、荒んでいた。いじめてきた人には今でも謝って回りたいと思ってるし、この学校でも償いをしたいと思ってる。平野君、変なことに巻き込んじゃってごめんなさい。文芸部、入りたかったんでしょ?」
俺はもうそんな気持ちを持っていなかった。あんなヘタレみたいなやつしかいないような部活なんて、入ったって意味がない。
「いや、もういいや。実際もう興味なくなったし。」
僕がそういった時、後ろで声がした。
「あら、あなたは・・・」
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